ユークンスクール通信2024年11月号  

     

もう立冬も過ぎあっという間にクリスマスの雰囲気となってしまいました。

中高生は期末テスト最中か、終わったばかりです。一学期と同様、中間テストと期末テストの間隔の狭さに大慌てで学習していたようです。私の頃はここまで間隔は短くはなかったと記憶していますので比べると大変とは思いますが、考えようによっては範囲が狭くなる、短期決戦で集中すれば後は季節休暇に入るまではとりあえずのんびりもできるというメリットもあります。集中して悔いのない学習をして欲しいと思っています

また受験生は今が一番つらい時期かも知れません。ドラゴン桜というドラマにもなった漫画の中で紹介されていた「成績の上昇グラフ」は直前2ヶ月でグンと伸びる曲線を示しています。逆に言うとそれまでは貯めてインプットされていたものが頭の中で整理再構築され出し方が身につき終わるまでの期間は目に見える結果が出にくいという有名なグラフです。勿論 時間軸を前にずらせて夏期中にそれが終わっていれば9月以降の模試で上昇が確認されとても安心な受験となるのですが、受験生の常として各自夏の段階の実力での安全校を目指すわけでなく、昔から追い上げるパターンの生徒を受け持つ事が多い私にとっても 信じてぶれずに指導していく大切な時期です。

スタートが遅かった、今までに抜けがある、今の実力からみて挑戦校を受ける生徒は、パニックにならずに やるべきことをやる。やり方、ポイント、ルールをインプットしそれを意識して問題を解き、また解いたことによりルールにフィードバックする、その繰り返しです。

とにかく自滅しないこと。パニックになり手がつかないというのは本末転倒です。また過去問に入る時期ですが闇雲に立ち向かうのではなく どう利用していくかしっかり意識する必要があります。

過去問や模擬テストには3つの意義があります。

シュミレーション=解く、測定=丸付け、フォロー=青コメです。

1つ目のシュミレーションはアウトプット、テスト慣れ、を図るものとして捉え いかに本番テストと同じ状態、(テスト用紙の余白、時間の使い方 緊張感) 等を味わうためのものです。という事は時間も測らずだらだらノートにやっているようでは意味が全くありません。きちんと用紙も拡大コピーし保護者の前で時間を計ってテストと同じ状況を出来るだけ再現して受けて下さい。できるものならそのまま更に時間延長ギブアップ版の答案を正答を知らせない状態で作ってみておいてください。

「敵を知り」の部分なので 丸付けさえしなくても意味はあります。問題形式や時間配分を知るという意義に留めれば9,10月に行ってもよいと思います。(当然その時期は全範囲終わっていないので測定にはなりません)

2つ目の測定は自分がどれだけの力がついているか、というものです。そのためには点数そのものよりは 合格最低点や平均点 偏差値を意識していってください。これから模試も少なくなります。過去問を 模試がわりに実力がついているか と役立てるのです。模試の今までの偏差値を見ても分かる通り1ヶ月で20違うことはざらです。一ヶ月で実力がそんなにつくこともないのであくまで良い時は「調子の良い時はこれくらいとりうる」悪い時は「最悪だとこれくらいとりうる」と「実力の幅」が出ていたと考えて下さい。上値下値のボックス幅が 上に推移していたのであれば概ね安心です。志望校によっては模擬テストとの相性で合格判定が参考にならないものが多くあります。その場合は志望校そのものの過去問で合格最低点がとれているかの方が確実な測定となります。

「己を知り」の部分なので 県立高校第一志望であった場合は2学期末テストが終わって大急ぎで受験に出る全範囲を終えたとしても冬期空けくらいでないと この2番目の意義は少ないと思います。この時期にギブアップ答案が 合格最低点の8割に届かない場合はそこを志望校とするのはすすめていません。

3つ目のフォローは間違えた問題を題材にきちんと原因を判明し得るべきものを得て実力を増進させることです。ただここで重大な落とし穴はいわゆる「捨て問」にはまらないことです。

時間くい虫ともいわれる捨て問もある一方、問題によってこれは落としてはいけない、正答率が高い、または配点が高い、出題頻度がたかい、または習得までのコストパフォーマンスが良いなどの判断が必要でフォロー作業は必ず個別指導のもと行うことをおすすめします。

冬期の1月2月がこのすべてになります。

今回はテスト前の生徒の緊張した時期ゆえ つい対象が絞られた記述が多くなりましたが 一方で非受験の小学生も楽しく学習しています。数検英検というテストも意識しつつ、余裕ある時期ならではの丁寧な本質的な学習の方法と「考える楽しみ」を味わえるものにしたいと思っています。